紅景天エキス末Rの美白作用

≪研究内容の紹介≫
紅景天は、北アジアやヨーロッパに自生するベンケイソウ科の多年生高山植物イワベンケイ（Rhodiola resea）の根及び根茎を乾燥した物で、滋養強壮効果が期待できる天然素材として利用されています。植物は病原菌、低温などの外部ストレスに対して体内に防御物質であるファイトアレキシンを生成することが知られており、紅景天は高山植物であることから紫外線に対するファイトアレキシンを多く生成、含有していると考えられます。そこで私たちは、紅景天をヒトが摂取することにより紫外線に対して有用な薬理作用を示すと仮説を立て、紅景天を用いた紅景天エキス末Rを開発し、薬理学的に検証しました。本報告では、マウスの紫外線照射によるDOPA陽性メラノサイト（活発にメラニン合成を行うメラノサイト）数増加に対する改善作用を指標に美白効果を評価しました。
まず、9日間マウスに紅景天エキス末Rを投与し、投与1時間後に紫外線を照射、実験開始10日目に耳介皮膚を採取し、表皮のDOPA陽性メラノサイト数を計測することで色素沈着に対する予防効果を検討しました。紫外線照射によりDOPA陽性メラノサイト数は著しく増加し、紅景天エキス末Rはこのメラノサイト数の増加を用量依存的に抑制しました。
次に治療効果を検討するため、3週間マウスに紫外線を照射した後、紅景天エキス末Rを1週間または2週間投与した結果、1週間の投与で対照群に比べDOPA陽性メラノサイト数の有意な減少が確認され、2週間の投与ではさらなる減少が見られました。
以上の結果より、紅景天エキス末Ｒは紫外線照射による日焼けの予防効果だけではなく、日焼けや一般にシミと認識される皮膚の色素沈着の消失を早める治療効果も有することが示されました。本素材は、内服で予防的および治療的美白効果が期待でき、さらに学名が表すようにバラの香りを有することから、女性向けの機能性食品素材であると考えられます。